しらかわブログ

アドレナリン?エピネフリン?

2019年11月20日 (水)

先週のお話で出たアドレナリン。身体の中、副腎髄質で作られるホルモンの1つです。

今回は医療の世界では有名なこの「アドレナリン」に関する「名前」のお話を紹介します。

アドレナリンは交感神経が興奮した状態、「闘争か逃走か」のホルモンと呼ばれています。

わかりやすく言えば人体が興奮した状態、生命の危機を感じた時などに多く作られるホルモンで、現在ではアナフィラキシーショック(激しいアレルギー症状)の治療にも利用されています。

心拍数が上昇し、筋肉などが瞬発力を発揮しやすい、感覚が鋭くなる、痛覚の麻痺などの効果があります。よく運動するときに「アドレナリンが出てる」とか言いますよね。

また、喧嘩する時、「瞳孔が開いている」「殴られても痛みを感じない」というのはこのアドレナリンの作用だと考えられています。

このように、さまざまな効果があるため、19世紀の科学者はこれを医薬品に利用しようとしていました。そのためにはアドレナリンを単体で抽出する必要があり、さまざまな実験が世界各国で行われました。

そして1901年、日本人の研究者チームが世界で初めて単体として結晶化に成功したのです!

この功績により、「アドレナリン」は医薬品として利用できるようになったのです。しかし、アメリカでは同じ物質を「エピネフリン」と呼んでいます。

なぜか?

アドレナリンの結晶化は世界各国で行われており、もちろんアメリカでも同時期に同じような研究がされていました。あるアメリカ人の研究者が日本人研究者の研究は、アメリカ人研究者の盗作だ!と主張したのです。

現在ではそのアメリカ人研究者の方法ではアドレナリンは結晶化できないことがはっきりとわかっており、多くの国では日本人が名付けた「アドレナリン」の名前を採用しています。しかしアメリカでは未だにその研究者が付けた「エピネフリン」の名前の方が多く使われているのです。


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