歯科治療はしっかりと麻酔をすればほとんど痛みが出ることはありませんが、まれに麻酔の量が足りなかったり、骨が丈夫な方や麻酔が効きにくい方は痛みが出てしまうことがあります。
「痛かったら左手を挙げてくださいね」と言われることがほとんどだと思いますが、我慢した方が良いのでしょうか?
歯科医師が「痛かったら手を挙げてくださいね」と言うのには、大きく3つの理由があります。
もちろん最大の理由は患者様の苦痛に配慮するためです。歯科治療の最大の欠点は、耐え難いほどの痛みを患者様に与える可能性があることです。それを少しでも和らげるために、痛みに配慮した治療を心がけています。
次に痛みの「閾値」を知るためです。「閾値」とは、脳が認識する最小限の刺激のことです。ざっくり言うと、どれくらいの刺激によって痛みを感じるのかを知りたいのです。たとえば、麻酔なしで治療を始めて、大きく削っても痛みを感じないということであれば、神経が壊死(何らかの原因で自然に死んでしまっていること)している可能性があり、根の治療が必要かもしれません。逆に、少しの刺激でも痛みを感じるのであれば神経が炎症を起こしていて、それを鎮める必要があることがわかります。痛みも診断の大切な材料になり、これを麻酔診と言います。
最後は、必要な麻酔の量を知るためです。たまに、麻酔が効きにくい方がいらっしゃいます。体質に合わなかったり、骨や歯の根が丈夫で麻酔の薬が浸透しにくい場合です。その場合は麻酔薬を可能な範囲で増やす必要があります。ちなみに、一般的な成人であれば、麻酔カートリッジ(注射器にセットしている液体が入った筒)20本までは注射しても安全ですので、ご安心ください。
ですから、痛みがある場合は、遠慮せずに手を挙げてください。
どれくらい痛いのか?などを伺い、患者様とご相談のうえ、適切に処置を行っていきます。
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